京野菜「新形態」でヒットを狙う

これまで生鮮食品として売られるか、料理に使われるケースほとんどだった京野菜を菓子やケーキ、ジュースなどの加工品などにする動きが徐々に広がっているらしい。京都観光の好調さから土産物としての需要も見込め、京都府も販路拡大へメニュー開発の支援に乗り出したという。ただ今日土産の定番となる「ヒット作」の誕生には今しばらく時間がかかりそうだ。
観光客でにぎわう錦市場近くの洋菓子店「フレーバーズ」。外見はおしゃれな普通のお店だが、ケーキが並ぶショーケースを見ると「堀川ごぼう」「鹿ヶ谷かぼちゃ」など京野菜の名前が書かれた札が目に入る。店は2011年に開業。「万願寺とうがらしココナツオイルマフィン」「九条ねぎと白みそのクッキー」など焼き菓子のラインナップも豊富。「他都市の人にとって京野菜のブランド力はすごい。京都の人にも珍しさを感じてもらえる」といい、11月にはお土産用の日持ちを意識した缶入りの焼きチョコを発売したそうだ。
約15年前に九条ねぎや金時にんじん入りの飴を発売したのは今西製菓。京野菜加工品界のいわばフロントランナーだ。ただ開発当時は「野菜入りの菓子は売れないというジンクスのようなものがあった」という。それは「とりあえず作るという発想で、味にこだわりがなかったからだと思う」と今西政博専務は解説する。飴も最初は変わり種扱いされたが「おいしく食べられる配合」にこだわり、現在は丹波くりや黒大豆など全9種類に拡充。土産物需要が8割を占め、京都観光と連動して好調な売り上げを続けているという。
京野菜加工品の元祖・漬物の老舗「大安」は約10年前から千枚漬けに用いる聖護院かぶらの焼酎を販売。派手な売り上げはないが安定した人気はあるといい、10月には「聖護院かぶらスープ」も発売したとのこと。
圧倒的なブランド力を誇る京野菜だが、近年は他府県産との競争が激化し、京都産の出荷額は伸び悩んでいるという。京都府は昨年度から需要創出へ加工品開発を支援するプロジェクトを開始。府自身も大手食品会社「カゴメ」と黒大豆を生地に練り込んだクッキーを昨秋商品化。今年は府立大などと伝統野菜・桂うりのジュースを開発し、東京や京都の店舗で販売したそうだ。
ただクッキーもジュースも一部店舗を除き期間限定扱い。一般的な野菜より原材料費が高いことも定着へのハードルとなっているようだ。
京野菜をもっと手軽に楽しめるといいのだが、ブランド化されているためなかなか手が出せないというのもあるのだろう。加工品をきっかけに京野菜に興味を持つ人が増え、もっと需要が増えるといいのだが。